英語多読とは?子どもと始める、やり方・レベル・読む量のガイド

公開日:2026年10月5日 最終更新:2026年10月5日 文:Tom(Mukashi 創業者)

英語多読(たどく)とは、辞書を引かずに読めるやさしい英語の本を、楽しみながらたくさん読む学び方です。一文ずつ訳して文法を分析する「精読」とちがい、量と楽しさで英語に慣れていきます。子どもは、絵と音のある短い絵本から始めます。公共図書館の多読コーナーを使えば、無料で始められます。

多読と精読は、どうちがう?

学校で習うのは、主に精読です。短い文章を、辞書と文法で正確に読みます。多読は反対に、やさしい本をすらすら、たくさん読みます。

目安は、知らない単語の割合です。国際団体Extensive Reading Foundation(ERF)のガイド(2011年)によると、ページの単語の約98%を知っていれば速く楽しく読め、90%を下回ると読むのがつらくなります。98%は、50語に知らない単語が1つくらいです。

精読と多読のちがい
精読多読
知っている単語90〜98%98%以上
読み方訳して、分析する訳さずに、すらすら
辞書使う使わない
ねらい単語と文法を学ぶ読む力をつけ、英語に慣れる

どちらかが正しいのではなく、役割がちがいます。

多読三原則は、だれが言い出した?

「多読三原則」は、電気通信大学で多読の授業を続けていた酒井邦秀さんが、2002年の著書『快読100万語!ペーパーバックへの道』で発表しました。SSS英語多読研究会やNPO多言語多読が、広めてきました。

  1. 辞書は引かない
  2. わからないところは飛ばす
  3. つまらなくなったら(合わないと思ったら)やめる

3つ目には言い方がいくつかあり、酒井さん本人もそう書いています。大事なのは、楽しく読めない本は読まないことです。海外でよく引用されるDayとBamfordの「多読指導の10原則」(2002年)も、「本はやさしい」「自分で選ぶ」「できるだけたくさん読む」と、同じ方向を向いています。

なぜ多読で英語が身につくの?

ただ、この分析で小学校での実践は、82のうち7つだけです。研究の多くは大学生で、子どもの多読はまだ研究が少ない分野です。

何歳から?年齢別の始め方

4〜6歳:親子で、聞いて楽しむ

ひとりで読む必要はありません。読み聞かせや音声を聞いて、絵を見て、お話を楽しむ時間です。文字のない絵本や、1ページに1語の絵本から始めます。同じ本を何度も読みたがるのも、立派な多読です。幼児の多読の研究はほとんどないので、ねらうのは効果より、「英語の本は楽しい」という気持ちです。

6〜12歳:音声つきから、ひとり読みへ

小学校で扱う英語は、3・4年生の外国語活動から5・6年生の外国語まで、全部で600〜700語程度です(学習指導要領、2017年告示)。多読は、教科書よりずっとやさしい本から始めます。最初は音声を聞きながら文字を目で追い、すらすら読める本が増えたら、ひとりで読みます。

レベルの目安:YLとORTのステージ

日本の多読でよく使われるのが、SSS英語多読研究会の古川昭夫さんが2003年に始めた「YL(読みやすさレベル)」です。0.0〜9.9の100段階で、YL0.0は英語を知らなくても読める本、YL3.0は約1万語の児童書です。

イギリスの子どもの読み書き用に作られた絵本シリーズ、Oxford Reading Tree(ORT)は、多読の入り口の定番です。SSSが公開しているYLと1冊の語数(2014年)は、次のとおりです。新しい版では、ステージを「レベル」と呼んでいます。

ORTのステージとYL、1冊の語数(SSS、2014年)
ORTのステージYL1冊の語数
1・1+0.0〜0.20〜40語
20.2〜0.320〜70語
30.3〜0.470〜80語
40.4〜0.5100〜200語
50.5300〜350語
60.6〜0.7450〜700語
70.7〜0.8900〜1,000語
80.9〜1.0900〜1,200語
91.0〜1.41,200〜1,500語

ORTのステージは、英検何級?

正確な対応表は作れません。出版社のオックスフォード大学出版局は、ORTはイギリスの子どもの読み書きのために書かれ、文法レベルで分かれていないので、日本の試験とは対応しないと説明しています。英検の目安は、5級が「中学初級程度」、4級が「中学中級程度」です(日本英語検定協会)。本選びは級より、「50語に知らない単語が1つくらい」を目安にしてください。

どれくらい読めばいい?

ERFのガイドは、学校では週に1冊くらいかそれ以上を求めるのが一般的だとしています。SSSは、最初の10万語のうち2万語をYL0台、8万語をYL1台で読むよう勧めています。1冊100語の本なら、2万語は読み返しを含めて200冊分です。一方、NPO多言語多読は「1年で何語」という目標はおすすめしないと書いています。子どもは語数より、毎日少しでも続けることを大切にしてください。

よくある失敗

  1. むずかしすぎる本から始める。 学年や英検の級に合わせると、たいてい難しすぎます。
  2. 「どういう意味?」と聞く。 訳のテストになると、楽しさが消えます。
  3. 最後まで読ませる。 合わない本は、やめて次へ。
  4. レベルを急いで上げる。 SSSは、急いで上げると多くの人が読むのをやめてしまうと書いています。
  5. 最初にセットを買いそろえる。 まず図書館で、好きなシリーズを確かめましょう。

図書館なら、無料で始められる

いちばんお金のかからない多読は、公共図書館です。東京都立図書館の「英語多読棚」のように、ORTなどのシリーズをまとめて置く図書館があります。

ただ、どこにでもあるわけではありません。NPO多言語多読の全国調査(2024年)では、回答した571館のうち、英語多読コーナーがあるのは119館(21%)、ORTの所蔵は約3割でした。コーナーは2015年以降ふえています。近くの図書館の蔵書検索で「Oxford Reading Tree」と入れてみて、なければ取り寄せができるか聞いてみましょう。

アプリは、どこで役に立つ?

図書館には本を選ぶ楽しさと、紙の手ざわりがあります。苦手なのは音です。英語の読み上げに自信がない保護者には、毎日の読み聞かせが負担になりがちです。アプリなら、音声つきの本を毎日、家で開けます。ただ、本の数では図書館にかないません。ウェブ上の物語を使った研究で効果が大きかったという分析もありますが(Jeon & Day、2016年)、条件はさまざまで、画面のほうがよいとまでは言えません。図書館とアプリを組み合わせるのが、現実的です。

Mukashi(ムカシ)について

Mukashiは、物語で読む英語多読アプリです。星の精ホシといっしょにイラストの世界を旅しながら、レベルに合った英語の物語を読みます。小学生(6〜12歳)を中心に、4歳からは親子で使えます。

多読とちがう点も書いておきます。どの本も、最後に理解度のクイズがあります。本は、ひとつの世界の物語を順番に読み進めます(読んだ本は、何度でも読み返せます)。

家で使える、無料の英語ぬりえ14枚と便箋4枚もあります。

よくある質問

英語多読は何歳から始められますか?
4〜6歳なら、親子で絵本を聞いて楽しむところから始められます。ひとりで読むのは、文字が少し読めるようになってからです。年齢より、楽しめているかを目安にしてください。
親が英語を読めなくても、多読はできますか?
できます。音声つきの本やアプリなら、保護者が読み上げる必要はありません。訳を教える必要もありません。いっしょに絵を見て、楽しむのが役目です。
ORTのステージは英検何級にあたりますか?
正確な対応はありません。出版社は、ORTは日本の試験とは対応しないと説明しています。本選びには、YL(読みやすさレベル)と「50語に知らない単語が1つくらい」の目安が使えます。
多読は無料でできますか?
はい。公共図書館の本なら無料です。ただ、多読コーナーのある図書館は、全国調査に回答した図書館の約2割です。Mukashiのデモも、登録なしで10冊読めます。

まずは、10冊読んでみてください

登録もメールアドレスもいりません。英語がはじめての子にはスクールハウスの5冊。少し知っている子には、ホシのおうちの5冊。タヌキのフォニックスゲームもあります。

出典

  1. Extensive Reading Foundation『The Extensive Reading Foundation's Guide to Extensive Reading』(2011年)
  2. SSS英語多読研究会「SSS英語学習法のご案内」(古川昭夫、2023年12月8日修正)
  3. NPO多言語多読「多読三原則とは?」(「多読三原則いろいろ」文:酒井邦秀)
  4. Day, R. R. & Bamford, J. (2002). Top ten principles for teaching extensive reading. Reading in a Foreign Language, 14(2), 136-141.
  5. Krashen, S. (2004). The Power of Reading (2nd ed.). Libraries Unlimited.
  6. Nation, P. (2014). How much input do you need to learn the most frequent 9,000 words? Reading in a Foreign Language, 26(2).
  7. Elley, W. B. & Mangubhai, F. (1983). The impact of reading on second language learning. Reading Research Quarterly, 19(1), 53-67.
  8. Sangers, N. L. ほか (2025). Learning a language through reading: A meta-analysis of studies on the effects of extensive reading on second and foreign language learning. Educational Psychology Review, 37, 96.
  9. Jeon, E.-Y. & Day, R. R. (2016). The effectiveness of ER on reading proficiency: A meta-analysis. Reading in a Foreign Language, 28(2), 246-265.
  10. 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」
  11. 古川昭夫「Yomiyasusa Levels, Reading Levels for Japanese Students」(SSS、2014年3月22日)
  12. オックスフォード大学出版局(日本)ORTカタログ「よくある質問」(2023年版)
  13. 公益財団法人日本英語検定協会「英検とは」(各級の目安)
  14. NPO多言語多読「Q.読んだ本の『語数』を記録したほうがいいですか?」
  15. NPO多言語多読『全国公共図書館多読資料調査 報告書』(2025年3月、2024年度調査)
  16. 東京都立図書館「英語多読棚」

最終更新日:2026年10月5日